先日安倍内閣が、国家成長戦略の一環として、「骨太の方針」を発表しました。その中に、保険医療において、使用薬剤をいわゆる先発薬から後発薬(いわゆるジェネリック)の使用へ変更をはかるとなっています。医療に関してはこれだけです。これだけ!あまりに唐突感が。ちょっと待ってよ。これが骨太?確かに薬剤費は少し古い資料ですが、2009年で薬剤費は医療費の約25%をしめています。いまだとたぶん9兆円を超えていると思います。しかしこれは全部が薬代ではありません。薬剤師の調剤料も含んでのことです。特に厚労省は医者から薬価差(実際はそんなにないのに)利益を取り上げるため、院外処方を推進してきました。皆さんも院外処方だと薬代がやたら高いのを実感していると思います。これは調剤薬局の調剤料が高いからですね。当院では、投薬の間違いが起こってはいけないので、最初から院外処方です。このリスクヘッジに加え、使いたい薬剤を自由に処方できることとなります。院内調剤だと多くの薬剤を並べるわけにはいきません。ちなみに2001-2009で調剤薬局の薬剤費は2倍に膨らんでいます。厚労省の努力の成果です(嘲笑)。ですからジェネリックにシフトさせたところで、焼け石に水と私は思うのですが。それに、他人の褌で相撲をとる後発品メーカーは自社開発をしません。ジェネリックシフトするといわゆる先発品メーカーは経営が苦しくなり、医薬品の開発能力が低下すると考えます。早晩、欧米の超巨大企業に買収されたり、ジェネリック医薬品メーカーに成り下がっていくことでしょう。ですから私は、この問題はTPPとも関連して、アメリカをはじめとする外圧があるのではと考えています。加えて、私のまわりにジェネリックを好んで服用している医師を知りません。なぜか?ここでは書けません。直接主治医の先生に尋ねてみてください。ではどうやって膨張する医療費を減らせるでしょうか?答えは「不要なことをしない」に限ります。批判を覚悟で書きますが、90過ぎた人に心臓の手術をせなあきませんか。同じくもうあちら側へ逝こうとしておられる方に、高濃度の点滴をして、酸素を無理やり送り込んで、心電図モニターやらなんやらいっぱいくっつけて、生きながらえさせる必要がありますか。このあたりに費用対効果を検証べきだと考えます。生き延びることでこの方が、国家にどれだけの貢献(利益をもたらすか)を冷徹に計算せよということです。どうしてもという方は自腹を切ってねでいいのではないですか。ぶっちゃけ死に際が一番金がかかるのです。もうすぐ多死社会を迎えます。もう少し真剣に国民的議論が必要なんじゃないでしょうか。こんな話をするとすぐ「ほんなら貧乏人は死ね言うんか!」という方が出てきますが、私はムダ金と考えます。何度も書きましたが、人間死に至る過程が大事と考えます。それと、「人間の命は地球より重い」(嘲)という日本人ですから、こんなん言うのもなんですけど、人命第一と言って、ひと月に何千万もの医療費を一人に使うのを何とかしませんか?上位1%の人で、国民医療費の約1割を使っている事実を知ってもらいたいです。