新年用に購入した小説が、ちょっとヘビー過ぎて、娘の書架から一冊借りだしました。ちなみに彼女の本棚はほとんどが小説と漫画で埋め尽くされてます。本年2冊目の紹介です。  明日の子供たち   有川 浩著   幻冬舎刊「図書館戦争」、自衛隊三部作(「塩の街」、「空の中」、「海の底」)、テレビ化された「空飛ぶ広報室」などベストセラーを連発してはる方です。ご存じない方もおれれるでしょうか、女性です。社会を支える地味な(失礼!)職業人を書かせると、その職、人が生き生きと描写され、心洗われる思いがします。この作品は、児童養護施設(孤児やネグレクトされた子供たちが暮らす施設)に赴任した新任職員の話です。彼を通じて、子供たちの人生、施設の在り方、行政の問題を軽く明るく描かれます。「私を可哀想と思わないで」私はぎくりとしました。職業柄、障碍者との距離感は把握しているつもりでしたが、結局は恵まれない(この表現もペケです)子供たちに対するのも同じなんですね。知らぬ間に上から目線だったんだと気づかされます。昔はやったドラマの名セリフ「同情するなら金をくれ」は、鋭く真実をついていることを少し理解できた気がします。最後のほうで、タイトルの意味するところがわかります。これも胸に迫る。テーマとしては暗い話なのに、読後感が爽やかなのは、作者の技量によるところが多いのでしょう。登場人物のすべてが、成長し希望に満ちた方向へ少しずつ進む、青春小説と言えるかもしれません。ドラマ化されないかな。ぜひ買って家族でお読みください。