ウイルス性の腸炎に罹ってもう4日。いっこうに回復の兆しを見ないまま日曜日になりました。
信頼する同級生で、日本一美しい女医さんである、吉井友季子先生(http://www.yoshiiclinic.jp/)によると、「疲れとストレスかもね」とのことでした。
昨日は午後は雑用を済ませた後は夕方に帰宅して、今日もずっと自宅にこもりました。
おかげで医務委員をしているラグビースクールの入校式も欠席です。申し訳ない・・・。
というわけで、読書で過ごしました。本年8冊目。
 月村了衛著 土漠の花 幻冬社刊 1600円
PKO活動の一環でソマリアに駐留していた自衛隊が現地のゲリラとの戦闘に巻き込まれて、戦う。
という、ありえるような、現在の法律ではありえないような微妙な筋立てです。
秋元康氏をはじめとして、帯に「一気読み」とか「慟哭」とかの文字が躍っているので、腰をすえて読んでみました。そうそう「本屋大賞」のノミネート作品でもあるらしいです。
感想。★★☆☆☆というところですかね。これで慟哭は涙腺ゆるいんとちがう?
また自分の命がかかっているときに、しかも職業軍人である自衛隊員が射撃を逡巡するなんて、そんなチョロコイ訓練をされてるとは思えません。
もっとも彼らは大臣(上官)から戦闘命令を受けていないわけですから、弾を撃つこと自体憲法違反になるわけです。それで戦闘をためらうのなら理解できなくもない。
この本を読まれる方もおられるかもしれませんので、詳細は書きませんが、彼らは戦闘をし、敵を殺すことになります。また仲間も殺されます。
ここで感動してはいけないのです。
日本には自衛隊員を守る法律がありません。敵を殺した隊員は、帰日すると、殺人罪で訴えられる可能性があります。たぶんあのへんの方たちが訴えるでしょう。本来は軍人の行為は軍事法廷で裁かれるのですが、日本にはそれがない。ですから殺人罪で告発されうるのです。命をかけて国のために戦って、殺人罪じゃたまったもんじゃない。
また、殺された隊員は戦死になりません。警官が殺されたときと同じ、殉職です。常に死を覚悟している自衛隊員とたまたま職務遂行上の死と同列にしていいでしょうか。各国には米国のアーリントン墓地のように軍人の墓があります。日本にはありません。靖国神社に祀らせていただきますか。
いかに、日本国民が自衛隊を鬼っ子のように扱い、のうのうと平和を貪ってきたかこれだけでもわかります。
自衛隊は軍です。隊員の命を大切に思うなら、きちんと憲法9条から変更すべきじゃないですか。
役人のお得意の法律の運用ではすまないと思います。
それとも皆さんは、自分には関係ないことだから、知らないふりして、先送りしますか?
この本では、このあたりを、まぁそうやろねというふうに終わらせています。
「本屋大賞」は信頼する賞ですが、書店の店員さんが軍事を知らないので、これをノミネートするのもしかたないかと、少し嘆息したしだいです。