よく膝を腫らした患者さんから受ける質問です。めったに専門分野については書かないこのブログですが、あまりによく訊かれるし、そう信じておられる方も多いようなので。答えは・・・迷信です。関節液は関節内の滑膜という組織が産生と吸収を行っています。何らかの原因で関節に炎症が起こりますと、関節液の産生過剰におちいり、「水が溜まる」状態になります。ですから「水を抜く」だけで炎症がそのままだとまた水が溜まります。炎症を抑えて関節液の産生を減らすことが大事なのです。水が溜まった状態を放置すると、靭帯などが延びたりして関節が不安定になりますし、関節軟骨の栄養状態が悪くなります。同時に強い痛みも感じます。また正常な関節液は少し黄色くて透明ですが、原因によっては濁ったり、浮遊物があったり、血液が混じることもあります。感染を起こしていれば膿が溜まります。診断を確定する上で、その性状を知ることは大変有用なことです。少し痛いですけれど「関節の水」が多く溜まったら穿刺にご協力いただければありがたいです。水を抜くと同時に、その針からステロイド剤などを注入して炎症を抑えると、翌日には痛みも腫れも消えていることは珍しくありません。