先日、本年18冊目の読書を終えました。  政治家抹殺  鈴木宗男・佐藤優 著  徳間書店 1500円いわゆる「宗男ハウス」問題などで、特捜案件で逮捕され、有罪判決を受けた政治家と、その下でよく働き、おそらく省内の暗闘に巻き込まれた形で、背任容疑で逮捕されたノンキャリアの外務官僚による対談形式となっています。恐ろしいのは、検察が自白や証拠によるのでなく、シナリオをつくり(その原本が写真で示される)、証人に暗記させてまで、嘘で塗り固めていくさまです。身に覚えのない私でも、慄然とせざるを得ません。またそれが目の上のたんこぶと感じる外務官僚が仕組んだであろうことも、実名が示されています。もし嘘ならば、彼らは名誉棄損で訴えるべきでしょう。またさらにそれに、正義を気取るマスコミが乗っかる構図はいつもの通りです。私たちは「鈴木宗男」が極悪非道なあくどい金満政治家だと思い込まされていますよね、現在も。私は鈴木氏の言い分をすべて信じるほどナイーブではありませんが、それでも日本を支配しているのは、私たちの付託を受けた政治家でなく、ごく一部のエリート意識に満ちた、国家よりも己の出世が大切な官僚たちであると思い知らされます。いつ降りかかるかわからない国家権力の横暴に、私たちはどう立ち向かえばいいのか。暗い気持ちになります。少なくとも、マスコミ報道を鵜呑みにしない、知性と知恵は必要なようです。