私の読書時間の多くは電車の中である。読書をするために、電車を極力利用するといってもよい。ところが最近は時間がなくて、研究会などはたいてい車で行く。いきおい読書量が減る。また疲れて読書するエネルギーにかけていた。よろよろとやっと1冊読了した。 「偉人リンカーンは奴隷がお好き -変見自在- 高山正之著 新潮文庫」以前、イラストレーターの山藤章二さんが「週刊朝日を後ろから開けさせる男」として有名であったが、それに倣えば高山さんの「変見自在」は「週刊新潮を後ろから読ませる男」であろう。巻末の看板コラムを集めたものである。文庫化された5冊目のものである。とにかく筆が鋭い。読後、目が乾いてしまう。世の矛盾や欺瞞を切りまくるのであるが、そのすべてが噂や見聞によるのでなく、歴史事実を基に繰り広げるのである。今の日本では、大事なことを隠して教育がなされていることを知ることとなる。今まで56年何を学んできたのかと、戦慄する。以下いくつか列挙する。2次世界大戦で枢軸国として戦ったイタリアは、ムッソリーニを処刑した後、連合国側として日本から賠償金を奪った。また中立国であるはずのスイスも日本から賠償金をぶんどった。< >20世紀で行おうとした。ルーズベルトは白人男性とアジア女性を強制的に交配(簡単に言えば強姦)させることでアジア人種の根絶やしを真剣に議論した。スペイン人によるメキシコ侵略を20世紀で行おうとした。朝日新聞は昔から連綿と嘘を平気で書く新聞であるが、記者や社が責任をとったためしがない。中国は漢民族が太古から支那の地が漢民族の土地であると喧伝しているが、いわゆるチャイナドレスは満州服のことである。人民服は日本の鉄道員の制服がモデルである。どこまでも嘘を突き通すことで真実にしたがる民族である。英国に植民されていたインドは、英国がビルマを植民地にしたとき、自分たちが白人系というだけで、ビルマを支配する手伝いを許され、悪辣の限りを働いた。インドが独立したとき、英国はイスラムのパキスタンを隣国につくり、国境線をあいまいにすることで領土紛争が続くようにしむけた。などなど、虫唾が走るとはこのことを言う。しかし、歴史を知らない限り、バカみたいに「やぁやぁ」と笑顔でふるまい恥をかくこととなる。今も欧州や、米国を恨めという気はないが、結局はそういう奴らであると認識して、対処していく必要があるだろう。日本は結べるアジア諸国と手を携えることが大事と思う。メンタリティの異なる異形の3国を除いて。ぜひご一読を。