戦後70年。隣国ではうそつき同盟が、うれしそうにはしゃいでおりました。その軍事パレードで、習近平の横にいたのがプーチンでした。さすがKGB出身らしく、日本と中国を天秤にかけて、何やら権謀術数を巡らせているようです。ヨーロッパの一員として認めてもらえないロシアですから、アジアの大国と手を結ばざるをえないわけです。現在の北方領土交渉は、表からは進展があるように見えません。ロシアといえば、佐藤優氏をはずせません。そのボスと言われた鈴木宗男元大臣との対談が文庫になっているので、戦後の北方領土交渉史を知るべく読んでみました。本年15冊目の読了となりました。 「北方領土 特命交渉」 鈴木宗男・佐藤優 講談社α文庫 私は皆さんと同じく「鈴木宗男」=「ロシア利権でうまい汁を飲み続けた挙句、捕まった悪い政治家」という認識でした。それがどうも違うようですよ。まあ、政治家のことですから、自分を美化していと考えて、幾分割り引いて考えましょう。しかしこの本のすごいところは、外交官(存命のものも多く含まれる)、政治家、学者がすべて実名で挙げられることです。北方領土奪還の先頭を走っていると思われている、某大学の学者を「北方領土が返還されると一番困る売国奴」とまで書かれています。また外務省のキャリアでも名指しで「無能」です。すべて理由が書かれているので、嘘なら訴えられるでしょう。そうでないところを見ると、あながちはったりではないと思うのです。鈴木さんといえば、2島返還論者として、右からもたたかれましたが、あくまで現実論者であったのだなぁと感じます。それがいいとはいいませんが。まず歯舞、色丹は返還寸前だったとは、知りませんでした。どのマスコミもそんなこと言わなかったじゃないですか。私は新聞を精読するほうだと思いますが、国民はまんまとマスコミによってミスリードされているなと憤慨しております。行間ならぬ行裏を読み通す能力が必要ですね。結局は、底の浅い、ポピュリズムに走り、国民をばかだと思っている、マスコミの無能と、事なかれで北方領土より自分の出世が第一の役人、そして「父上が最高」の元総理のお嬢様によって、領土交渉がむちゃくちゃになっていく過程を示しています。また現在の政治家と官僚には人材が払拭してしまったことも。ただ領土奪還への方策も示されているのが、少し救いです。領土は国家の主権のひとつです。蹂躙されている限り、日本に明日はありません。