平尾誠二さんが亡くなられた。ラガーマンでない私にも、同世代の人間としてヒーローだった。とにかくかっこよかった。今で言う「クール」か。若い人は理解できないでしょうが、平尾さんが活躍されたころは、1月15日成人の日(今みたいに移動しない)に国立競技場で行われるラグビー日本選手権は、プラチナチケットだった。成人式に晴着を着た彼女を国立に連れていくため、世の男どもは無理したのだ。割り勘野郎はいない。せめて男気を見せていた時代であった。その緑のピッチに立つ彼は、またかっこよかった。ラグビーで10番が輝いていた時代である。無敵の神戸製鋼7連覇を達成した翌々日、阪神淡路大震災が起こった。これを境に神戸製鋼のラグビーは低迷していったように記憶する。ある意味日本ラグビーの分水嶺だったのかもしれない。引退後は、男性ファッション誌にモデルででたこともあったな。確か英国へ留学もされたように記憶する。ラグビーに対する提言が、素晴らしかった。日本のスポーツ界(私はスポーツと呼びたくないが)に、平尾さんの考えを理解する者がいれば現状は劇的に変わっていたのではないか。スポーツ庁長官には彼がふさわしいと考える。日本の体育界は変わらねばならない。平尾さんが亡くなられたことで、日本のスポーツがスポーツになることがまた遠ざかるだろう。体育のままだ。ラグビーも早稲田・明治・筑波というただただ「伝統」(ケッ)にしがみつく旧態依然の利権野郎に牛耳られたまま、先細るのだろう。痛恨である。2019ラグビーワールドカップ、見通しは暗いと私は断言する。彼を失ったことの大きさを理解できる日本人はどれほどいるのだろうか。国家のために、彼の死を心から惜しむのである。