医療機関の診療報酬は2年に1度改定されますが、それが来年にあたります。早くもマイナス改定が決定的なようです。この10年で医療費の単価は5%ほど下がっています。高齢化そして医療の高度化が進むのですから、医療費の総額が上昇するのは当然でしょう。購入する医療機器は増え、また高度で充実した医療を実践するために職員の数は増加します。利益は増えるどころか逆に減っているのが現状です。医療費をマイナス改定すればどうなるでしょう?支払いは減るわけですから、受診患者はおそらく増えるものと考えます。当然医療従事者の負担は増すわけですから、増員せねばならないところです。でもどこからその財源を確保しますか?収入が増えてこそ人件費もだせる。さらに最低賃金を3年で1000円にすると言っている。賃金を上昇させることで購買力を増し、インフレ率を確保したいのでしょうか?冗談でしょうという話です。保険医療機関は現在自由診療との混合を禁じられています。値段は決まっているのです。報酬を下げる上に、賃金を上げ、人員を確保せよとは無理です。絶対。今日の朝刊に折り込まれていた求人広告を見てください。医療・介護関係の時給・給与は他業種より低いはずです。それが現実です。景気が回復した今、高賃金をだせない医療業界は人材の確保ができません。さらに追い打ちをかける改定をされては、ますます医療の人的荒廃が進むと思います。人の命を預かる医療介護業界ではますます働き手がなくなり、またその中で働く人々の心の荒廃が起これば、世界に誇ってきた日本の医療の質を下げることになると思います。当院でも、職員の労働条件を維持しなければなりませんので、ある程度患者さんにご不便をおかけすることも仕方なしかなと考えています。医療機関がブラック企業なんて悪い冗談のようです。おそらくTPPが発効すれば医療もその洗礼を受けますし、医療と農業が規制に守られた業界のように言われていますので、早晩アメリカ型の医療が入ってきます。質を低下させるだけの保険診療に見切りをつけて、多くの医療機関は自由診療を雪崩をうって始めるでしょう。結局患者さんは高い医療費を払う羽目になると考えます。歳出を削減できた国だけが笑うことに。