新学期が始まりました。
給食や席替えも終わり、そろそろ学校にも落ち着きのでるころでしょうか。
新学期は検診の時期でもあります。学校保健安全法に則して、内科、耳鼻科、眼科検診などが行われます。整形外科も側彎症の検診を堺市では行います。
皆さんこの検診が危機に陥っていることをご存知でしょうか。
とにかく学校医のなり手がないのです。
以前はゆったりと診察し、午後の手のすいた時間に検診をしておりました。また学校医に支払われる嘱託料も十分だったときいています。
ところが、度重なる保険制度の改悪すなわち診療報酬の引き下げにより、医師の経済的余裕はなくなりました。若手ほど借入金も多く抱えていて、生き残りに必死に働いています。
昼食をとる暇すらないのは、私がいつも書いている通りです。
さらに、患者の権利意識の肥大化があります。あくまで検診ですから、詳しく見る時間はありません。検査をするわけでもないし。これで後々不具合があったときに、訴えられるケースがでてきたのです。
私たちからすればたまったもんじゃありません。最終的には裁判に勝ちますが、それまでに失われる時間、穏やかな日々。対価があまりに低すぎます。誰だって、夜診に備えてくつろぎたいと思いますよね。
さらに最近の保護者の無責任があります。
検診で問題あれば、学校から専門医へ受診するよう促す通知が生徒に持たされます。ところが大阪はその受診率が異常に低いのです。
ネグレクトと言っていいような、親の無関心・無責任です。
これでは検診するのも、むなしくなります。私の行っている脊柱側彎症検診でも、中学校精密検診受診率は5割を下回ります。子供の健やかな成長を願わないのでしょうか?
さらに検診する学校医がセクハラおやじ扱いを受けるという事例が頻発しています。「あの医者は内科検診でいやらしい目で私の胸をみた」だの「さわりまくった」だの。
今だとすぐこのようなデマがLINEに乗るのでしょうね。
「お前の〇〇な〇なんか誰が見たいねん、〇〇!」と言ってやりたいですね。
これで学校医をおやめになった医師もおられます。当然ですね。✕✕相手に心をすり減らすなんてまっぴらです。
勘違いしているのは、教師にもおりまして、ある学校の校長は「内科検診は服をきたままで」と言ってきたそうです。
それで何かあったら、おのれ責任取るんかい!そんな根性もないくせに。その場を過ぎさせればいいという、今の教育界を具現化した出来事です。
開業医の平均年齢は上昇中です。しかも余裕のある人はますます減っている。役所はなんでも医者の善意をいいことに、心の中では「高い(高くないよ)銭払ってるのに、文句言うな」と思っていますから事態は改善しません。
あと10年くらいすれば、検診事業が滞るようになるでしょう。
その時は役所や、マスコミはこう言うのです。「国民の健康を守るという本分を忘れ、自分の利益ばかり追求する医師が検診業務を放棄した」

4月からさらに私の公務が増えました。気力も限界に近いです。