私は現在ラグビースクールの医務委員をしていて、サッカーは門外漢であります。さらに言えば、得点に大げさに喜び、大げさに反則をアピールするサッカーが嫌いです。もっと言えば、ファンタスティックな部分がなく、力技でゴリゴリ押しまくる日本のサッカーが醜くて大嫌いです。でも、校庭の芝生化計画を掲げて、学校でなくクラブチーム主体の競技運営を掲げてきた日本サッカー協会(JFA)、川渕三郎さんの姿勢に大いに共感するものです。JFAはそのため、少年サッカーにいたるまで、コーチングライセンスを発行し、きちんと講習を受けさせたわけです。野球のように一流プロ選手がいきなりプロの監督になったり、そこらのおっさんが少年野球で怒鳴ることもなかったわけです。ですからJリーグが始まったころはサッカー少年が怪我をして当院を受診する際も、きちんと初期治療をできている場合がほとんどでした。それがいつごろからでしょう、顔をしかめたくなるような例が増えてきました。たいがい「練習しすぎやろ・・・」という例ばかり。サッカーも野球の二の舞かと嘆息していたところ、膝を打ちたくなるような本に出会いました。本年2冊目の著作は  間違いだらけの少年サッカー ~残念な指導者と親が未来を潰す~  林 壮一 著  光文社新書 780円著者は言います。我が国のスポーツ界、とりわけ学校の部活は、忍耐力を養わせ、精神力を一義に教育してきた。専門知識のない顧問は、テクニックを教えられないから、人間教育にシフトする。よって選手たちは服従を強いられる。根性を前面に出し、ひたすら苦行のような練習を強いる、バカパパコーチ。成長期にある子供の肉体を考慮しない意味のない練習の数々・・・その結果、笑顔のない指示待ちっ子が生まれることとなる。以前から私が言っているように、日本にはスポーツは存在せず、体育のみがあるのです。サッカー関係者のみならず、子供たちがスポーツしている保護者の方は、必読の書と考えます。ええかげん、巨人の星、アタックNo1から離脱せえよ。