私の父は徹頭徹尾愛国者だった。子供のころ、「(敗戦から20年しかたっていない)日本は、外貨準備が少なく貧乏だから、外国の物を買ってはならない。日本が貧しくなる」と言われた。友達の誕生日会で供されたコカ・コーラに手をつけない私を訝った友人のお母さんにその旨告げて、大層驚かれた。親の言いつけとはいえ、それを守る子供も不気味ではある。たぶん刷り込まれているのだろう。今でも国産志向なんである。昔なら、「外国産=上等・高価」なんだろうが、今はユニクロの例を持ち出すまでもなく、廉価な外国産もある。それでも必ずどの国の製造かを確かめる習慣がある。基本的に、いわゆる舶来は買わない。近年その傾向がますます顕著である。車は当然国産。加えて「1番」というのが生理的に嫌なので(2番手以下を応援したいじゃないか!)、トヨタは乗らない(1回だけ買って、感心した!)。今もマツダとホンダである。時計もシチズン。スーツなんかも国産。運動で使う靴はほぼアシックス。野球、ラグビー、ゴルフ、バドミントンすべてそうだ。そういえば、ゴルフ用品もボールに至るまで日本メーカーのしかも国産。残念ながらユニクロは中国製だがこれは買わざるを得ない。それでも生産国にはこだわる。中国製、韓国製は極力買わない。同じようならベトナム製やバングラデシュ製を買う。自分でもばかげているし、大人げないとも思うのだが、そういう血を受け継いでいるんである。逆に少し無理して国産のシャツを購入することもある。外国製の持ち物は、携帯電話(米国)とネクタイ(友邦タイ製)くらいか。正直に言うと、一度でいいから英国製の車を所有してみたい。ただし食べ物はその国の物に限ると思う。こればかりは悠々と国境を超える。
2019-07-03