受験生以外には興味ないと思いますが、現在医学部入試にはほぼすべての大学で面接が実施されています。点数には加わらないようですが、「重視」と記載されている大学が多いようです。今まで行っていなかった東大医学部においても、とうとう面接を実施するようです。私は下記の2点から、面接の実施におおいに異を唱えるものです。まず、面接官は医学部の教授が行うことになります。面接入試が正しく行われるには、面接官がそれにふさわしくなければなりません。皆さん如何ですか。医学部教授は、面接官にふさわしいですか。そのための訓練をしてきた専門家ですか?否です。彼らはある専門分野に素晴らしく秀でているから教授なんです。面接の訓練が行われているわけではありません。また学問に秀でている人が素晴らしい人間性を有しているとは限りません。あの発明家のエジソンだって、超利己的で周りからは忌み嫌われていました。そんな人も混じるやもしれぬのに、正しい判定を担保できますか。付き合うほどにいい奴ってわかる人はいますよね。そんな判断できるのでしょうか。筆記試験という誰もが納得する客観的評価と、面接というまったく主観の世界による評価をどうベストマッチングさせるのでしょうか。2番目は、これは「医学部」入ということです。皆さん「医学」と「医療」はちがうのです。東大の面接導入理由に、「医療」にふさわしい人材の確保とあります。医療は人に対して「医学」を施す行為と言っていいかと思います。でも医学部は医療だけでなく、医学を教えるところなのです。ですから、患者さんと対する学問だけでなく、例えば、「病理学」や「細菌学」などなど直接患者さんと向かいわない学問が存在し、それぞれがとても大切なものなのです。極論すればこれらの学問は、直接人と接する必要はありません。ただひたすら、実験や観察を行うのです。今医学の問題は、「医療」ばかりに人が行って、いわゆる「基礎医学」に人が集まらないのが問題になっています。今回の東大医学部の面接入試は、ますます医学の輩出する人材に偏りが出るのではないかと、非常に危惧するところであります。ふと、私の同級生を思い浮かべました。みなさん、こんな受験生、医学部の教授ならどう判断しますか?高校の同級生です。何より勉強が好き。勉強だけで生きていきたい彼は、東大医学部で医者の彼女を見つけ、その娘と結婚し、食わしてもらって生きていこうと思っています。そして彼はめでたく東大医学部へ。卒業後は臨床はせず、「病理学」へ。病理学で電子顕微鏡をのぞいているうちに、その世界にとりつかれます。そでぃて病理学者をやめ、再度物理学科へ大学再入学。そして今は「物理学」の教授です。そして奥様は東大で知り合った方です。こんな世間の常識では推し量れない規格外の人物を、世の教授はきちんと面接できますか。人類の未来がかかっていますよ。普通はおこがましくって辞退するのではないでしょうか。