お叱りを受けることを承知で書きますと、私は時々「謙虚ですね」と言われます。さらには「それなりの事をしてきたのだから、もっと偉そうにしても誰も怒りませんで」と言われたこともあります。これを書くだけでも、鼻白む方もおられると思います。話の枕ですのでお許しを。私は、金のスプーンをくわえて生まれてきたわけでなく、貧しい地方官吏の長男として育ちました。父が幼いころ両親に死別(病死)したこともあって、何としても私を医者にしたかったようです。母は「冤罪で刑務所に入れられたと思えば幸せや」と言われ、懸命に働きました。いわゆる「鍵っ子」でした。幼稚園の頃は、園からターミナルまで歩き、一人で市バスに乗り、祖父の家に行き、母の帰りを待ちました。孟母三遷の教えを実践するかのように、転居も数度。いろいろあって、中学入試に失敗。以前にも書いた「入江塾」に入りました。ここは1年365日塾があります。来る者拒まず、去る者追わず、という塾でした。おかげで奇跡的に高校入試で希望校に入り、おかげで医学部にも入学できました。できすぎた人生と思います。高校時代は最底辺の成績から這い上がるのに必死でした。まぁ、ほとんどテレビも観ず、流行歌も知らずに過ごしましたから、世間から見ればすこし変わっているかもしれません。その代り、映画や読書は平均的中高生よりたくさん経験したと思います。要は興味の方向が世間と違っていただけなのでしょう。でも周りからみれば、普通じゃなかったかも。勉強ばかりしているように見えたかもしれません。ただ無駄に思える時間を作るのがいやなだけだったのです。通常の方から見れば、「相当な努力」をしているように見えたと思います。私もそう思います。でもね、努力ってそんなもんじゃないんです。(次回に続く)