本年記念すべき20冊目の読書は「伝説の入江塾は何を教えたか」 入江 伸 著 祥伝社 です。私が時々記している、中学時代に通っていた塾のお話し。塾頭の入江先生はすでに亡くなられているので、著作や塾の会報からの抜粋です。おそらく、昨年行われた開塾50周年記念同窓会に、30年余の年齢差を超えて200名近い卒塾生が集まったのを目の当たりにした出版社が、企画したものと思います。今はない一私塾の集まりです。あの会場の雰囲気は、今の日本の哀れな姿からは想像もつかない素晴らしいものでした。入江塾(伸学社)なくして、今の私はありません。医師にもなっていないでしょう。塾の3年間が今の私を作りました。人間形成はもとより、英語・数学などの基礎力もこの3年で出来上がったことを実感します。すべてにおいてきちんと合理的な思考をする訓練を知らない間に受け、また自律した生活が結局は学力に直結することもこの3年で身につけました。実は私は便所掃除が好きなのですが、その秘密も記されています。入江塾というと、「スパルタ受験塾」というククリで紹介されるのですが、残念ながらマスコミの皮相的な視点からはそれが限界でしょう。入江先生の教えは、生活のすべてにおいて要領を使わず、愚直に日々努力を重ねることが、学問の向上に直結するということだったのです。中学校の3年間、入江塾がすべてでした。苦しかったけどそれ以上に楽しかった。わくわくする毎日でした。流行歌も知らず、学校のクラスメートの会話にはついていけませんでしたが、その時も今も何の痛痒も感じません。今年も年末に同窓生が集まります。各界で活躍する同級生はもちろん、先輩後輩の話を聴くのが何より楽しみです。灘高の集まりでもそうですが、結局人生を豊かにしてくれるのは友人なんだなと痛感します。入江塾のおかげで私の人生は素晴らしく豊かなになりました。入江先生、両親、友人に心より感謝です。唯一残念のが、私のこの思いが家族にも伝わりにくいこと。時代が違うと言ってしまえばそれまでですが。真理は普遍なんですけどね。お子さんをお持ちの方も、これから就職をする方も、一度手にとってみてください。時間のない方はせめてあとがきだけでも・・