川崎の老人ホームで、入所者を親身になって世話すべき介護職員がよりによって、高所から放り投げるという想像もつかないような方法で連続殺人を行っていたことが報道されています。例によってマスコミは、ピーチクパーチクさえずっていますが、私からすれば殺人や虐待は予想されたことであります。悲惨な介護の現場を知ってから言えよなと感じます。以前私に時間の余裕があったころ、当院では毎月手作りの新聞を発行しておりました。その16年前、平成12年1月号の記事を引かせていただきます。 国家予算の無駄を指摘した後で・・・ 介護保険もしかり。営利企業の参入を認めたため、彼等の利益を確保すべく、料金が非常に高い。サービスと料金の格差に納得できないものを感じるでしょう。 医者は医者をやめるわけにはいきませんが、彼等はちがう。儲からんとなったらさっさと撤退するでしょう。それは困るから儲けがでるように誘導するか、手抜きを黙認するはずです。またヘルパーは粗製濫造。患者はものとちがう。今の日本で奉仕の心を持つ人が何万人も急に現れますか。患者虐待など種々の問題が必ず起こるでしょう。第三者による介護業者の監視機関を作る必要があります。 いかがですか。今となっては介護料金は安いと思いますが、経営者に利益が大きく流れて、現場は安い賃金で疲弊しています。介護現場は貧困家庭や正規雇用を得られない人々の安全弁のようになっています。また介護現場の給与を上げれば、医療現場との給与水準が逆転します。そうなれば今何とか個人の意識で保たれている医療現場の士気は一気に下がるでしょう。介護が大事なのはわかりますが、人命を救う医療現場がそれ以下であるとは許せません。皆さんいかがですか。現場にだけ求めすぎてませんか。個人負担を増やすのがだめならば、税金投入しかないですよ。医療や介護に税金を突っ込んでも国は豊かになりませんよ。それでもいいですか。もし税でまかなうならば、消費税は10%で足りませんよ。私は日本経済が持たないと思うから、消費税増税に反対です。厚労省は医療も介護も在宅でとの方向を強く打ち出してきました。自宅で最期を迎えるつもりで準備する必要が大切です。