私は不調法者で、囲碁も将棋もできません。麻雀だけは学生時代にさんざんしました。ザル碁を打ってた父が教えようとしたことがありましたが、なんでも理屈で考えたがる私は、その指導法に反発して、見向きもしなくなりました。今思えばもったいないことをしたと思います。ただ私は、棋士のもつ武士のような佇まいが大好きです。対局が決した後はどちらが勝者かぱっと見ではわからないですよね。日本人の持つ「他者を思いやり、勝って奢らず」という強烈な美意識が大好きなんです。ですから対局の空気を感じることができる観戦記は、よく読みました。今日は私の読書の特別篇?マンガです。 聖  山本おさむ 小学館羽生善治の好敵手足りえたのではないかと言われながら、若くして夭逝した天才棋士「村山聖」の物語です。今、松山ケンイチさんの主演で映画も上映されていますね。鑑賞した息子によれば、「将棋わからない人でもメッチャ迫力あった」そうです。もともと観戦記者であった大崎義生さんの「聖の青春」という名ノンフィクションが15年位前に出版され、感動に震えながら読みました。それが時を経て、「村山聖」が蘇ったのです。彼を悲劇の主人公として見るのでなく、人生を賭けるとはどういうことか、またその生きざまの神々しさを教えてくれます。子供たちだけでなく、大人も手に取って意義のあるマンガです。「聖の青春」「聖」そして映画と、趣の異なるみっつを同時に楽しんでもいいのでないでしょうか