皆さん、趣味をお持ちですか。私にはこれと言ってありません。しいて言えば読書ですが、これも年々老眼が進み、体力が衰えてきているので、長時間続けるのが困難になってきています。老後は、屋内の趣味と屋外の趣味を持つのがいいのだとか。実は、2年前、堺市整形外科医会の会長職の任期が終わるとき、老後に備えてピアノを習おうと思っていました。小学校の時に習っていて、ちょうど我が家にも子供たちが学んでいたのでピアノもあります。受験などで弾いてもらえなくなったピアノを活用しようと考えたのです。残念なことに、さらに大きな学会の理事になり(ならされ)、ラグビー協会の仕事も与えられました。このまま病気になるのではないかと思うほど、忙しい毎日であるのは、幾分ご理解いただけているかなと思います。でも、また絶対ピアノ弾きたいと、思わせる本に出会えました。今年の13冊目。 羊と鋼の森  宮下奈都著  文藝春秋社本年の本屋大賞受賞作です。ミーハーと言わないでね。本屋で表紙を見て、買わずにいられなかったんです。学校でたまたま遭遇した調律師の音色に心を奪われ、調律師となった青年の成長の物語です。調律師の方が、これほど魂を込めて調律し、顧客の側もどれほど真剣に自分の演奏に向きあっているかを知りました。調律なんて、単に音程の狂いを補正するものだとおもっていたんです。恥ずかしい。我が家にも毎年、調律師は来られるのですが、弾かれていないピアノはわかるのだそうです。自分の欲しい音色を要求するような腕前になれるなんて考えてはいませんが、せめて「ピアノを大事にしていただいてありがとう」と思ってもらえるくらい弾いてみたものだと思いました。いつのことでしょう。ようは本人のやる気次第だとはわかっていますが。