本年5冊目、「イスラム国 テロリストが国家をつくる時」読了。
悪い意味で話題を独占しているイスラム国ですが、その成り立ちや、目指すものなどを記した本です。
ローマ生まれ、米国育ちの女性が著者です。
この本からは、ただの過激なテロリストがハネッカエリの行動をしているととらえると、大きな過ちをおかすことになる。
現在も欧米諸国はまちがった対処をしているとあります。
カリフ制の名のもと、欧米によって線引きされた国境を易々と越えて、テロリストが国家を持つことになるかもしれないと、警鐘を鳴らすのです。
マスコミは、地上軍を派遣し、武力で徹底的に攻撃すれば、時間はかかるがイスラム国を殲滅できるかのように報道しますが、もう無理なのかも知れません。
イラク、シリアへの対処を誤ったために、イスラム国は勃興しました。米露が同じ方向を向いて対処しなければ、中東を起点とする大戦が勃発するのではとすら、戦慄します。
我が国も、イデオロギーを超えて、対処する必要があると考えます。
今回旅券を取り上げられたカメラマンのように、政権に敵対することだけを目的とする、あの方面の主義者は、もう少し大きく物事を見るべきでしょう。いつまでも欧米により勝手な国境の線引きをされたために不幸があり、さらに貧富の差がイスラム過激派を産んだという歴史観は通用する状態でなくなったことを自覚反省してもらいたいものです。
それにしても、池上彰さん、170ページ以上の単行本にたった4ページの解説を書いただけで、著者、訳者と同じポイントで同列に表紙に名前を掲載されるのはどうでしょう?
本人が了解したからこうなったのでしょうけど、いくら出版社が提案してもこれは辞退なさったほうがよかったのでは、と感じました。
 「イスラム国 テロリストが国家をつくる時」
  文藝春秋社 ロレッタ・ナポリオーニ著 1350円