安倍内閣が企業に給与を上げろと迫るのは、間違っていると思う。首相のまわりにいる経営者は、いわゆる大企業の方ばかりである。でも大多数の給与所得者は中小のそれである。中小がなぜ景気が回復しても敬意会が苦しいといえば、上の企業からの仕切り価格がバブル以後下がったままだからでしょう。電気代をはじめとして、円安もあって原材料の価格は上がっている。それでも製品価格が上がらなければ当然利益も出ないので、給与も上げられない。聞くところでは、大手の言いなりに残業して仕事しても、利益どころか赤字が増えるので仕事を断っているのが現状とのことである。本末転倒だ。仕切り価格を上げて、末端まで景気のうまみをいきわたらせるほうが大事なんではないか。また法人税を下げて喜ぶのは大企業だけだ。半数以上の企業が法人税を払っていないのだから。さらには中小の多くが消費税分も払えなくて滞納していると聞く。これでは消費は増えないでしょう。古来日本は、仁徳天皇の逸話を持ち出すまでもなく、民の不平等は少ない国であった。社会主義とも違う、おだやかな民主国家だった。大東亜戦争後それがくずれて、平等とは名ばかりの、三島由紀夫が案じたような、つまらない拝金主義の国家に成り下がった。東芝をはじめとする、一流財界人や高級官僚というやつらの卑しさは顔をそむけたくなるほどである。今一度、2000年にわたり営々と築き上げてきた、天皇をたたえる日本型民主国家を評価すべきではないかと考える。今の日本人はとにかく上から下まで卑しいと思う。
2015-12-03