医療は仁術と言いますが、国は算術ととらえているようで。
今日は制度として始まる、「かかりつけ医」の説明会・講演会に参加してまいりました。
皆さんピンとこないと思います。
簡単に言えば、例えば「日置荘西町1丁」の住人は、何か身体の不調(風邪でも腰痛でも眼が見えにくくなっても)が起これば、まず〇〇クリニックを受診しなさい、という制度です。
結局は一人で何軒も医者にかかると金がかかるから、1軒で安く済ませようというわけです。財務省の考えるようなことですね。
英国ではこの制度がずいぶん前からありまして(英国病で経済が悪化しましたね)、コロナの時に的確に診察できる医師が多いはずもなく、英国ではコロナの死者は日本の何倍にもなっています。かかりつけ医→専門医→高度医療機関ですので日本より対応が当然遅れます。
日本のいいところは、誰もが平等に好きな医療機関を受診できる、「フリーアクセス」。世界にほぼ唯一です。大学教授を受診するのに特別な計らいなどいりませんよね。
ですので、英国では優秀な医師と金持ちは、国外へ出て医師は金を稼ぎ、患者は高い手術料を払ってでよい医療を受けています。現在、国内だと癌の手術が1年待ちとかざららしい。
私が医師になったころは、「高度な専門性」を国から求められ、専門医になることこそ良医の証とされました。ですので日本の開業医は多くが専門医であり、頻回に勉強会に参加して医療水準を維持しています。
それをいきなり「なんでも診ろ」と言われても。
当然日本医師会は反対しています。
医療水準や国民の命の担保が二の次なんですから。
今回の講演会でも、演者の話からは、「財務省」という言葉は何度も出てまいりましたが、「厚労省」とは結局一度も出てこなかった。
医療制度の改革なのに、すべて財務省がとりしきる日本医療の不思議。金をケチって、国民の健康が損なわれては、本末転倒と思うのですが。
フリーアクセスがなくなれば、この収入ではやっていけないと、保険のきかない自由診療が増えるでしょう。手術にしても、長期間手術待ちの安い病院と、腕のいい医師が富裕層相手に施す高額の病院に分かれていくと思います。医療までも分断化が進むとは、暗い気持ちになる私です。
安かろう悪かろうの「かかりつけ医医療制度」に私は反対です。
