最近、受付に「手術出張につき午後診察の開始が遅れるかも」との告知が時々張り出されるのをご存じかと思います。
原則水曜日の午後ですが、同期の友人の手術を手伝いに行ってるのです。
私がメスを離して28年ですから、私は執刀しません。そこまで思い上がっていません。
そんな私が手術の現場に立ち会うことに意味があるのか?
メチャクチャあるんです。
医療は日進月歩ですから、同じ手術でも、中身が別物なっていることも多いのです。こればかりは勉強会で多くのスライドを見ても、実際の現場には及びません。
助手の立場での参加ですが、開業医として2万人以上の患者さんを診てきて、知らぬ間に医師としての知識、素養が増えていることに驚きます。頭の中では術者になり、過去の患者さんの例を頭に浮かべながら、過ごします。たぶん若かったころより、的確に手術助手を務めていると思います。
そして、手術助手で得た経験は、翻ってクリニックでの患者さんへの診療にきわめて役立ちます。体で得た知識が、脳内の知識を上書きするわけですから。
また、入念に手洗いをして、看護師さんに術衣の着用を手伝ってもらって、手袋をはめる。
この一連の動作で、私が整形外科医であることを実感し、背筋が伸びる感じがします。
診察室で患者さんとお話しするのはもちろん有意義ですが、「私は生きている」と心から実感るのは彼との手術時間かもしれません。
私が手術助手を務めることは、当院へお越しの患者さんにも利益をもたらすと確信しています。
写真は私が初めて人工股関節の手術を執刀した時のものです。