パリのノートルダム寺院が火災にあい、尖塔が焼失した。私たちもパリ滞在中は、何度となく訪れた。クリスチャンじゃないけれど、聖堂の中に入って佇んでいると、心が洗われる思いがしたものだ。お寺とはまた違う。すがるというより、心新たにするという感じでしょうか。聖堂の中は結構多目的に使われていて、クラシックの無料コンサートに出かけたこともあった。パリは案外小さい街なので、日曜日など散歩がてらでかけるのである。近所のカフェでサンドイッチをテイクアウトしてセーヌのほとりでもぐもぐ。日暮れ時になると、寺院の周辺の川べりはは同性愛者の集う場になるのであった。日本のテレビでは、東大寺が焼けたものというような解説があったが、全然ちがう。どちらかと言えば我が家が焼失したような感覚だ。そこにあって当たり前のもの。亡失感は非常に強いと思う。日本にはそんな存在がないことに気づいた。伊勢神宮ともちがう。フランス人はこんな時、強い。移民も含めて、寺院再建に立ち上がるだろう。だらしないいい加減な国だけど、祖国を愛する気持ちの強さには驚嘆する。残念だけど、今の日本にはこれがない。心から戦後教育を恨む。再建なったら絶対再訪しよう。フルコースを味わう体力を維持しなくちゃ。
2019-04-18