先日、厚生労働省の「医師の働き方改革に関する検討会」が2024年以降の医師の勤務時間についての報告書を取りまとめた。例によって細々と(いつも思うが役人はなぜ簡単明瞭に結論を出せないのだろう?)医師の激務を緩和する?きまりが並べられている。大雑把に記しますと、研修医など技能向上の必要がある医師と、医師不足で大変な地域の医師は、時間外労働の上限を年間1860時間とするというものである。それ以外の医師は960時間。また研修医および医療過疎の地域の医師は、連続勤務時間は28時間まで。勤務時間の感覚は8時間開けることとのことである。無茶苦茶である。地域医療が崩壊するで。研修医などの給与に値しない技術の医師が、必死になって技術向上を図るのは当然だ。むしろ超過勤務手当も満額払わなくてもいいのではと思う。先輩医師をおいて、先に帰る輩もいる時代である。鉄は熱いうちに打たなあかんのである。私の言いたいのは、地方である。医師が足りないのは、医師がそこで働く価値を見出せないからである。皆さんは医師がどのように考えて生きているかご存じだろうか。大多数の医師が、世のため人のために尽くしたいと考えているのは間違いない。しかしそれ以上に己の技術を高めたいと考えている職人なんである。寿司職人が、銀座や北新地の名店で修業したいのと同じなんである。いつもお伝えしているように、ほぼ毎週末勉強会がある。少なくとも県庁所在地の都市へ出かけなければならない。東北なら青森からわざわざ仙台まで出かけるのである。たった3時間のために。そんな不人気な職場を必死の思いで守っている医師に、都会の医師の倍の超過勤務をしろというのか!1860時間を365日でわってください。5時間ですよ。毎日休みなく5時間超過勤務をせよと?これだけで1日13時間勤務である。日曜日はさすがにたまに休むでしょうから、そうなると毎日6時間以上の超過勤務となる。風呂入ってご飯食べて寝たら終わりやん。これではますます地方勤務を希望する医師はいなくなる。現に勤務しておられる方々もつぶれるでしょう。逆に使用者側はめいっぱい超過勤務をさせようとするでしょうね。医師を増やすしかない。AIを活用して居ながらにして、医療技術を高めるシステムの構築が必要である。また分散して生活している人々を集める、スモールシティを急がなければならないと思う。一刻も早く医師の犠牲を前提とする今の仕組みを変えてもらいたい。医師も国民も不幸になるだけだ。