皆さま年末年始をいかがお過ごしでしょうか。

私は年末のスキーを楽しんだ後は、朝からお酒を楽しみながら、のんびりと過ごしております。

大晦日、元日は診療所で過ごしたのもいつもと同じ。二日にはゴルフを楽しみ、本日は息子と釣りに出かけました。

その合間に、ふんだん時間の取れない読書を。以前と違い眼がすぐ疲れるので、一気呵成に読破とは参りません。

年始から縁起でもないと叱られそうですが、「そうそう」と膝を打った著作を本日は紹介します。

「それでも病院で死にますか」 尾崎容子著 セブン&アイ出版

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著者は現役の訪問診療を主とする開業医です。

人間誰でも最期を迎えます。またそれは最期を看取る家族の問題でもあります。著者は診療を通して、「本人も家族もいかに満足できる最期を迎えるか」を考えます。

私たち医師は、患者さんがもう回復させることはできない状態であることを判断できます。これは治療をあきらめるのとは違います。回復させることのできる方は全力で治療します。しかし、ろうそくはいつまでも灯をともすことはできません。

ところが案外、患者さん自身もその家族もそこがもうひとつ納得できない方が多いように思うのです。病院に入院させれば、回復してまた元気になると思われるのですね。実際はかえって体力が落ち、認知症まで進行することが少なくありません。

入院しなければ、「自分のことは自分でできる」生活をもっと長く続けられたのにと、思うことがしばしばです。

著者は「人間らしく天寿を全うする」ことにエネルギーを費やします。

私が学生の頃は「何が何でも一秒でも長く生きさせること」が医師の使命でした。

「人間死ぬときには死ぬやん」と感じていた私が、内科や外科を選択しづらかった理由です。

ただいたずらに自分のもつ生命力を超えるような治療が、かえって穏やかな最期を迎えることができなくなる事実も知ってほしいと思います。

高齢者にはこの著書名を忌避されるとも聞いてます。しかし、あと長くない命だからこそ読んでいただきたい。またその家族にも知っていただきたい内容が満載の本です。ぜひご一読を。