私にとって冬の味覚といえば「牡蠣」である。秋から春にかけて何度も楽しむ。最近は初夏に「岩牡蠣」もあるがこれは高いのでめったに買えない。

「カニ」も当然好きなんだけど、せっかちな私にとって、いちいち身を剝く手間が煩わしい。これも値段が高いのと、子供たちもあまり好まないので食卓に上ることはない。それにロシアや北朝鮮からの密輸品も多いと聞くし。奴らの利益になりそうなことはしたくない。

このたび知人から石川県の牡蠣をいただいた。脱サラして牡蠣の養殖を始めた友人がいるらしい。

それは見事な牡蠣であった。殻付きでなくむき身の。一つ一つが乳白色で大きく、美しい。

ちょうど週末であったので、連日牡蠣料理を堪能した。

といっても私は、スパゲティを茹でるのが関の山。

嫁さんにリクエストするだけである。

妻の手料理を褒めるなど、鼻白むでしょう。

でもすべてがこの上なく美味かったのである。のろけで言うのではない。

料理は素材であること、きちんと作ることが大切と痛感した。

嫁さんはこれはというレシピを見つけると、味付けは我が家風に若干変えるものの、手順は絶対レシピを守る。段取りには理屈があるのだろう。

牡蠣の身はあくまでもふくよかで、海の潮の香りが口に広がり、甘さがあとから湧いてくる。

身のゴロゴロ入った牡蠣飯。締まりすぎないように工夫したしぐれ煮。そして定番カキフライ。僕のリクエストである、バター醤油焼き。最終日は牡蠣グラタンとアヒージョ。アヒージョが最高に美味かった。食べたあとのオリーブオイルをパンでこそぎ、白ワインを堪能した。

「来年からはちゃんとお金払うから」と知人に連絡した。

幸せな食卓がコロナを一時的に退散させた。でも緊急事態宣言が解消されたら、絶対外食し、お店を助ける行動に移る。

飲食店は悪くない。感染防止できない程度の低い奴らが感染しあうのである。