毎日、私には時間が足りません。常に何かに追われているように感じます。
ゆっくりとした時間を作ろうと、目の前の仕事を片づける毎日。でも新たな仕事が生まれます。
月に1回の散髪は、私にとって究極の無駄な時間です。
鏡に映るのは、髪が薄くなりくたびれ色気も味気もない初老の男です。
患者さんには「死ぬまで恋する気持ちを持たなあかん」と言いながら、自身はとっくに失いました。
止まり木の似合うショーンコネリーみたいな漢を目指していたのだけれど。
とにかく散髪は時間の無駄でした。嫁ハンに自宅で丸坊主にしてくれと言ってみたけど、子供たちが反対しました。180㎝の大男が丸坊主で保護者懇談に出て来ては欲しくないよね。
だからいつも、年中無休の大衆理容を利用してました。顔ぞりシャンプーまで一連で20分です。ありがたい。安いのも嬉しい。この頭に4000円も使う気がせん。
ところが難題が。混んでるんです。最近は特に。時間を買うために通っているので、30分も40分も待てません。
思い余って、母や嫁ハン、息子まで世話になっている近所の美容室にお願いしました。
店主の気の良いおばさんは、非常に恐縮しながら、丁寧に刈ってくれました。
で、昨日。時々膝の注射している患者さんに「先生、髪切った?」と聞かれました。
何年ぶりでしょう。いつも家族すら気づかないのに。
「いい感じですよ」とまで言われました。
ちょっと顔が赤くなったな。
心を込めた仕事は伝わるのですね。
こんな頭、どうやっても同じやと考えていた自分を少し恥じました。