人工股関節の世界的権威である、大西啓靖先生がお亡くなりになりました。
なんとなく整形外科を選んで医者になった私は、その弟子の末席をけがしております。
研修医として配属された病院の医長が大西先生でした。
外来診察の日は、朝から夜まで診察です。
そして手術の日は、これも一日中神業のような手術をされていました。
その合間には、ヤギやウサギを用いた実験を自ら行っておられました。
人工関節の性格上、医学のみならず工学系の研究者との幅広い交流が私には新鮮な驚きでした。
自ら国際学会を主催され、世界中の研究者と論議されている先生は、人生をエンジョイされてると心から尊敬できました。
かばん持ちで、いろんな研究所や、国際学会に同行させていただきました。
先生のおかげで、私のように何のとりえもない者が、パリへの留学をすることができました。
私的には今でも自分の生き方のバックボーンになっている留学時代ですが、結局医学に対する貢献という面で、先生に御恩をお返しすることができませんでした。
弟子を名乗ることすら、おこがましいと感じています。
いまだ学会では、私が四半世紀前に経験した論争がまだ続いているようです。
大学に身を置かず、臨床の現場から発信していたために、業績にふさわしい評価を得られなかった(と私は感じる)先生は、いつもの笑顔で「ほんと〇〇だよねぇ」と苦笑されてるのでしょう。
ご冥福をお祈り申し上げます。
合掌。