スポーツにおいて、ケガをすることは避けられない。大事なのは、受傷後後遺症を残すなどの大事に至らないようにすることである。

現在行われている高校野球で、戦慄するような場面があったので記す。

打者が野手と交錯し頭部に外傷を受け、意識を失くした場面である。

写真にあるように、阪神園芸の職員や選手などの「素人」(失礼)が布製の担架で運んでいる。

ありえない!

意識を失った時点で脳震盪をまず疑う。そして同時に頸椎などの脊髄損傷も考えるのが世界の常識である。スクープストレッチャーXT 松吉医科器械

このような場合、まず当該患者を仰向けにして、意識消失の有無を確認、次いで手足に力が入ることの確認をする。そして医師または資格を持つもの(当然待機しているはずである)が頭側から頭部頸を固定する。次いでそのままの状態で患者を動かさずに運べる「スクープストレッチャー」(写真右)を滑りこませて、付属備品で頭部を固定する。そのうえで4人ないし5人で運ぶのである。

いまだに熱中症死の可能性のある真夏の甲子園で野球をさせる高野連・朝日新聞だけのことはある。

選手の命が大事になんて考えていないのだ。儲ける手段としての商品とみているのだろう。むしろ担架で運ばれる選手を「青春の一コマ」として美しい映像として扱っているのではないか。

高野連・朝日新聞が己の利益のために人命を軽視していることが如実に表れた事件であった。

死球など頭部外傷が多い野球。立ち合いで、頭部頸部の事故が多い大相撲。

どちらもテレビの露出が多いスポーツで、元締めの組織がこれでは困る。選手関係者がこれでいいと考えてしまう。

ラグビーは脳震盪の選手を見つける専門職を置いて試合を監視する。そして脳震盪を起こせば試合復帰までのきちんとした治療プログラムが存在する。

国民的スポーツか何か知らないが、野球界の安全対策はラグビーから20年分遅れている。