国はマイナンバーカード(以下マイナ)を普及させたいよほどの事情があるのだろう。

取得は任意であるはずのマイナが事実上義務化される事態が進行している。

個人情報の保護だとか、日ごろ火を噴いたように怒るマスコミが淡々と報じているのはなぜか?まさかあの気持ち悪いCMが引きあげられるのを恐れているわけではあるまいね?

昨日、国は現在の健康保険証を廃し、マイナと一元化することを決めた。

即ち保険医療を受けたければマイナを取得する以外に方法はなくなる。

運転免許証も一元化するとか。

実は、その前段階として、来年4月に保険証の顔認証制度義務化が始まる。間に合わない医療機関は何らかの罰則が課される予定である。いきなり6月の発表。

私たちにとって頭痛の種である。まず導入に50万円近い金が要る。補助金は出るのだが、期日が決まっており、先日おっとり刀でNTTに申し込んだら、「工事はしますがもう間に合いません」だった。自腹である。

加えて当院の場合、このシステムと電子カルテを連動させる必要がある。これは自腹である。国の都合に何故我々が100万からの金を使わなあかんのか。

しかもこのシステム、試用期間中トラブルの続出で計画が半年遅れたいわくつきである。

ただでさえコロナで、医療機関で働こうとする人は減っている。

窓口のトラブルで、辞職する職員が多く出ることをこころから危惧する。

というのも、試行期間のトラブルで最も多かったのが、保険組合によるカードへの記載ミスであった。でも窓口でトラブルになったら医療機関が悪いと普通お思うよね。

「患者で良かった」と思うなかれ。

今までなら保健証は勝手に届いたのである。

これからは、自ら書き換える必要がある。後期高齢者の方はこの数か月目まぐるしく変わった保険証。あれをすべて区役所に出向くことになるかもなのである。スマホで書き換えもできるとは思うが、マナーモードへの変更すらできない人たちに期待できるか???

資格が変わったら、2週間以内の変更義務もある。

こんなことまで医療機関は対処できない。

保険証の読み込みができなければ、当院ではお帰りいただき他院受診していただくか、自費診療にする。まず守るべきは職員である。

国はマイナに特定健診の結果や、投薬履歴、検査履歴も記載させると言っている。

そのうち納税状況や役所がかかわる個人情報をマイナに乗せようとしている。

チャイナもびっくりの監視社会の始まりである。

ところで100万くらい必要な手続き、私たちの実入りは一人ひと月40円だそうである。子供の遣いか?システム運用に必要な通信回線代にもならない。

システム導入で10%の開業医が閉院を考えている。90%の開業医が反対している。

私が70才ならば、迷いなく診療所を閉じて、のんびり勤務医をする。